エピファニー当日にして、旅の前日。しかし出発までにあとひとつ仕事が終わらないと旅立てないので、旅前夜にして徹夜。
さて、エピファニーのお菓子ガレット・デ・ロワを年末から食べ続けているけれど、そもそもエピファニーはキリスト教の祭日。宗派によって何を記念しているかは多少違いがあるけれど、広くは、イエスの誕生を祝福するため東方の三博士が訪れた日とされている。
語源はギリシア語の「出現」。1月6日の祭日だけれど、近年は平日に信徒が教会に集まりにくいという社会事情にあわせて、1月2日から1月8日の間の最初の日曜日、ということにしている国もある模様。
世界各地にさまざまな慣習があり、新年のお菓子ガレット・デ・ロワを食べることはフランスの伝統的な習慣。フランス人は「これを食べないと新年が始まらない!」といった具合で、この時期は町中のブーランジュリーや有名パティスリー、スーパーマーケットにだって山のように並んでいる姿が見られる。そして飛ぶように売れていく。
もっともスタンダードなのがアーモンドクリームのパイだが、チョコレート味やフルーツ味、キャラメル味などバリエーションも豊か。プロヴァンスの方ではブリオッシュの生地をまるい大きなドーナツ型にして、粉砂糖やフルーツの砂糖漬けをあしらったブリオッシュタイプのものもポピュラーなよう。
欠かせないのが紙製の王冠と、中に入れるフェーヴ。ガレットの中にフェーヴを入れて焼き、切り分けたガレットにフェーヴが入っていた人は王冠をかぶり、その日の王様になれる。フランスではその場に集まった人々の中でいちばん小さな子どもがテーブルの下にもぐって、どのピースを誰に割り当てるかを言うので、誰に当たるか本当にドキドキだと思う。また、フェーヴが当たった人は祝福を受け、1年を幸福に過ごせるとも言われている。
写真はbebe(赤子のイエス)のフェーヴ。私はキリスト生誕をテーマにした伝統的なフェーヴの中でも特にbebeが好きで、見つけるとなんとなく手に取ってしまう。